中小企業が中期計画を作るときに最初にやること
中期計画を作りましょうという話になったとき、多くの経営者がまず「どんな事業をやるか」という議論から始めます。それ自体は悪くないのですが、その前に確認しておくべきことがあります。現在の財務状況と、過去3年の数字の動きです。
なぜ財務データから始めるのか
計画を作る前に財務データを読み直す理由は単純です。現在地がわからないまま目的地を決めても、道筋が引けないからです。売上の推移、粗利率の変化、固定費の構造。この三つを確認するだけで、どこに問題があるかが見えてきます。
特に粗利率は、製品・サービスごとに分解して見ることが重要です。全体の粗利率が横ばいでも、内訳を見ると特定の製品が利益を引っ張っていて、他は赤字に近い状態になっていることがあります。この状態で「全製品の売上を伸ばす」という計画を立てても、赤字製品の比率が上がるだけです。
数値目標の設定は逆算で行う
「3年後に売上を30%増やしたい」という目標が出てきたとき、最初に確認するのはその根拠です。現在の生産能力、人員、設備で、30%増の売上に対応できるかどうかを確認します。
対応できない場合、何が必要かを計算します。設備投資が必要なら、その資金をどこから調達するか。人員を増やすなら、採用と教育にどれくらいの時間がかかるか。これらを積み上げると、3年後に実現可能な数字の範囲が見えてきます。その範囲の中で目標を設定するのが、実行可能な計画の作り方です。
- 過去3年の売上・粗利率・固定費を確認する
- 製品・サービスごとに粗利率を分解する
- 現在の生産能力と人員を把握する
- 目標数値から必要なリソースを逆算する
- 資金調達の方法と時期を確認する
優先課題を三つに絞る
財務データを読み直すと、課題が複数出てきます。全部を同時に解決しようとすると、どれも中途半端になります。3年間で取り組む課題を三つに絞ることが、計画を実行可能にする条件です。
絞り方の基準は、「解決したときの財務インパクトが大きいか」と「自社のリソースで対応できるか」の二点です。インパクトが大きくても、対応するリソースがなければ後回しにします。この判断を経営者一人でやろうとすると、感情が入りやすいので、外部の視点が役に立つことがあります。
中期計画は、作ることより使うことが難しい。3ヶ月ごとに数字を確認して修正する習慣が、計画を生きたものにします。